恵比寿三越「春の新作コレクション」始まりました

恵比寿三越にての「春の新作コレクション」は、のんびりゆったりと始まっております。一足早く春の訪れを楽しんでいただく「花々祭」が三越伊勢丹全店でスタートした日と重なっての催事、寒がりの私も春らしさを出したつもりです。
とはいえ2月、何をお客さまにアピールしよう?と考え、思い至ったのが「マカロンクロシェ」。以前は「つばが蛇腹になる帽子」と言っていた、ベレーとクロシェのいいとこどりのような面白い帽子です。如何せん「蛇腹」では春らしくない、ということで私自身なんとなくこそばゆい感じではあるのですが「マカロンクロシェ」などと可愛らしく改名してどーんとアピールすることに致しました。
90×180㎝のテーブルに40個あまりのマカロンクロシェが並んでいます。
ひとつのデザインをこれほどのバリエーションでご覧いただくのは、私にとっても初めての試み。少々心配しながら2日間を終えての感想は「悪くない」。

これだけ並んでいるとお客さまも「?」と目を留めて下さいます。しかもなんだかベレーではないようだし、見た感じは地味な物体。
そこで私が「こうやって遊べる帽子なんですよ」とつばをささっとアレンジしてごらんいただくと、「あら、面白い」「変わったデザインですね」「全部同じ帽子ですか?」と興味を持って下さるのです。
そうです、同じデザインでも生地や色が違うとこれほどまでにイメージが変わる。
いくつもいくつも頭に載せて楽しむお客さまもいらっしゃいました。有難いことです。

いままで帽子全体のバリエーションの豊富さを見せることに一生懸命でしたが、こうやってひとつのアイテムに絞り、そのバリエーションを見せる方法もあることを確認する催事になりそうです。
また自分の中の引き出しがひとつ増えました。

恵比寿三越はお客さまがゆっくりと館内を歩かれています、店内わんさかというかんじではありません。店全体もそれほど大きくなく、そして社員販売員のみなさんはとても仲がいい。隣のジュエリー作家の方は「ここは例え爆発的に売れなくても(!!!)お店全体の雰囲気がいいから好きなのよ」とおっしゃっておりました。
気持ちよく過ごせるのも大事なことかもしれません、私がぎすぎすしていたらそれがお客さまに伝わるに違いない。綺麗に着飾る帽子を紹介するのにそれではいけません。

暖かくなったり冷え込んだりの1週間、しかし気持ちは穏やかに過ごすことが出来そうです。イベントもたくさんの恵比寿で皆様のお越しをお待ちしております。

2017年2月15日(水)〜21日(火)
「野村あずさ 春の新作帽子コレクション」
恵比寿三越 1階 クロスイーギャラリー

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帽子のファッションショウのこれから

帽子のファッションショウは今回10回目。長く続けられたことは良かったとは思います、継続はなんとやらとも言いますし。しかしそれによっての問題も当然生まれてくるわけで、一番は「マンネリ感」。
ショウは二部構成です。一部は門下生が「ショウのためにそれぞれ作った帽子持ち寄ってショウっぽく構成して」見せています。二部は師匠が毎年テーマを決めてそれに沿って作った帽子を紹介します。
ショウとして一部二部のどちらが充実しているかは言わずもがな。門下生の方はどうしても「楽しい素人の発表会」風、この何年かは「相変わらず感」を抱きつつモデルとして歩くのをとても歯がゆく思っておりました。

思っているだけでは変わりません。来年は11回目、ここで一歩踏み出さないとせっかくのショウがもったいない、と、師匠に提案の手紙を書きました。
「門下生の部もテーマを決めて皆で帽子を作り上げ、起承転結を持って構成した方がショウとしての見応えが出るのではないか。このところマンネリになりがちだったが、ここで新しさを出せばお客さまも喜んで下さるだろう。
テーマは作る私達とお客さまの認識が共有出来るものが相応しいと思う、帽子をご覧になるお客さまも帽子をご覧になりながらさらにイメージを膨らませることが出来るだろう。モチーフや季節を限定するものは制作上の素材を限定するのでそれは避けた方が良いかもしれない。」

そして師匠から電話、「私も同じように思っていましたよ、是非来年は良いショウになるよう取り組みましょう!」
そして研究日には皆の前で「来年の課題」として、私の提案を紹介してくれました。仲間も大いに同調してくれ一安心。私は口数が多いのでそれで失敗することも少なくないのですが今回は言い出しっぺになって良かった。

学生の頃から数多く発表の機会を経験しています。
ノリで始めたものの一回で終わってしまったり、続けても惰性になってしまったような個展などなど。
いま現在継続しているイベントのひとつがこのショウ。しかしひとえに師匠がいてこそのイベントで、その師匠も来年は90歳。後で「ああすれば良かった、こうすれば良かった」という時間はあまりないという心づもりで、来年は今までよりグレードアップした帽子のショウをご覧いただくべく準備をしてまいります。

写真はショウのバックステージ、ショウの順番に並べた帽子がズラリ。朝の9時半から2時間かけてリハーサルがありました。

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ショウのスナップ

帽子のファッションショウが終わりました。

小林時代の帽子24点に門下生の60点というボリューム、お客さまも体力勝負の30分だったことでしょう。お疲れさまでした、そしてご来場ありがとうございました。
反省はかなりありますが、帽子のエンターテイメントな側面をご覧いただけたかとは思います。全部は無理ですので、その中でのいくつかをご紹介致します。
(撮影・大久保元博)



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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続・「作家もの」ということ

「作家もの」ということの、なんとなく続きで「作家とのコミュニケーション」について。
イベント等で作品に出会って気に入って買う、とても楽しい瞬間です。せっかくの作家もの。そこに作家がいるのなら作り手と接するまたとない機会ですから、是非作者とのコミュニケーションを楽しんで下さい。

「もの」が良ければ余計な情報はいらない、という方もいらっしゃるかもしれません。その方は自分の直感に自信をお持ちなのでしょう、それはそれでハッキリしていますね。

何と話しかけたらいいのかためらうのであれば、自身が買った作品についてでしたら話しやすいでしょう。「素材が気に入りました」「色が気に入りました」「デザインが気に入りました」そして「どうしてこの素材(色、デザイン…)を選んだのですか?」
話がはずめば「どうしてこれを作り始めたのですか?」私が相手であれば「どうして帽子を選んだんですか?」と聞くのも面白いでしょう。
ここで言い渋る作家などいるでしょうか。喜んで話をしてくれます。
(ただし相手が他の接客で忙しそうでしたら遠慮したほうがいいかもしれません)

作品には作者の気持ちが反映されます。
その作品が気に入ったのであれば、少なからず作り手に共感する部分があるはずです。
作家と話すことで「素材に対する姿勢に感心した」「色彩感覚の好みが似ている」「デザインの話が面白かった」等のプライスレスの物語が買ったものに加わります。
ものと出会った場面、一緒にいた人(作家)、その時の自分の気持ち…これらが買ったものをあなたにとって更に価値あるものにしていきます。

作り手のものに対するそんな気持ちを知らなくても、買ったものを使うには全く支障はありません。しかし安くはない作家ものを買うのですから、決め手となった理由や気持ちがあるのでしょう。「使うだけ」でしたら安いものは他にいくらでもありますから。
そう、機能だけで帽子を買うなら安いものはいくらでもある。その中で私の帽子を買って下さるのは「何か」が気に入ったから。
直感で感じたそれが何なのかを自身で探れるようになると、ものの見方に厚みが増します。「なんとなく」や「その場しのぎ」で選んだものより「私はこういう理由で、これを選んで身に着けている、使っている」という考えの方が、断然前向きな気持ちでそのものと向かい合えると思います。

ということでどんどん作り手と話をしてみて下さい。
私達は興味をもっていただいて話しかけられるのを待っています。

写真はショウのためのふたつの帽子を並べてバランスを見ているところ。「どうしてこんな帽子を作ったんですか!?」と聞かれたら大喜びで1時間は語りますよ!

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小林時代の言葉3(ショウのフィッティングにて)

「作り手の気持ちのこもっているものは気が出ているんですよ。売らんかなという商品にはその気が感じられない、出ていないんです。気はですね、生きてついてまわるんです。ものつくりに誠実な作家がしっかり作ったものというのはそういう『いい気』が出ているものなんですよ。」

帽子のファッションショウのために作った帽子がずらり並ぶ中で師匠・小林時代が言ったのが上の言葉です。私達が頑張ったご褒美として言ったのでしょう…基本的に師匠は誉めて伸ばすタイプですので。(まだまだ未熟なのは自分自身が良くわかっています)
気功の世界では「気は手から出る」と考えるそう。ならば作り手の「良いエネルギー」が、その手から作ったものにダイレクトに移るだろうことも道理、太極拳師範の腕を持つ師匠がいかにも語りそうな言葉です。

ファッションショウではアトリエメンバーの帽子・約60個、師匠の帽子・約20個。それらを30分かけてご覧いただきます。退屈にならないよう構成にも気を付けて、本日のフィッティングを終えました。写真は最終調整をする師匠。
私もとっかえひっかえ10数回、モデルとしてフロアを歩きます。帽子のエンターテイメントな側面を皆さんに見て感じて喜んでいただくのが、当日の私の最大の務めです。

2017年2月4日(土)
「帽子のファッションショウ」
六本木 国立新美術館 展示室1A 平泉展内
14:30〜(30分ほどのフロアショーです)

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続・カジュ祭の帽子

 

 

 

 

 

 


カジュ祭の
帽子制作中。
帽子の構造として弱くなるのはやむを得ないものの、やはり古民家である以上は縁側が欲しい。壁面を切ってそれを前に倒し、竹箸を支えにして縁側(のようなもの)の出来上がり。ここには織物教室をイメージしたモチーフを置く予定です。

師匠に「もうひとつ作りなさい」と言われたときは「イベントと関係ない人が見ても面白いのかな」と半信半疑でした。しかしあれこれ考え、「帽子でこういう表現も出来る」ということを「イベントとは何の関係もないお客さま」に見ていただく良い機会になるだろうと思い直しました。
共通時間や経験を共有している前提があるので、「イベントをイメージした帽子」をそのイベント会場にいる人達に喜んでもらうことは難しくはないでしょう。では知らない人がわからないのは仕方ないのか?となると、それではただの自己満足。
共通認識がなくとも、それを乗り越えて理解してもらうためにどうしたらいいのか。石田倉庫やカジュ・アート・スペースを知らなくても「えー、この帽子、面白い!」と思ってもらえるために、どんな働きかけをしたらいいのか。
壮大な問いを抱えながら、今日も小さいパーツをくっつけています。

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カジュ祭の帽子

石田倉庫の帽子が出来上がった時、一応の報告?として師匠・小林時代に見せました。見るなり大笑い、「まぁ、良く作ったわね!こんな帽子、初めて見ましたよ!」

楽しいことが大好きな師匠、そう言うだろうと予想はしていましたが、加えて「初めて見た」とはなんと嬉しい誉め言葉!
クリエイティブ(創造的・独創的)な仕事をする以上「見たことのないものを新しく作り上げたい」と願うのは当然。「他にもありそう」「見たことがある」では、それはイミティティブ(模倣的)。

「あずさちゃん、これはショウに出しなさい」
これは想定外、面白がってもらえるとは思っていましたが。
「石田倉庫のイベントをイメージした帽子」は、その場所で被ってその場所に居合わせた方が一番面白く感じるもの、他の場所では威力半減。作った私自身はそう考えていました。
なのでファッションショウで「そのイベントを知らないお客さま」に見ていただくのはどうなんだろう?と疑問を感じている間にも「モデルさんは二人で歩きますからね、この帽子のもうひとつ組になる帽子を作りなさいよ」と師匠はどんどん決めていきます。確かに組にするにも、この帽子に合う帽子は他には見当たらないでしょう。だってどこにもないんですから。となるともうひとつ、やっぱり作るか。

実は石田倉庫の帽子を作っている時に腹の中で「これはカジュ帽子も作らないとな」と考えてはおりました。
秋は立川の石田倉庫「アートな2日間」に参加、春は鎌倉のカジュ・アート・スペース「カジュ祭」に参加するのがここ6年の恒例行事。百貨店催事とは異なる「モノ作りに携わっていることを純粋に喜ぶ」という、私にとっては初心に返る大事なイベントです。
となると倉庫帽子を作ったらカジュ帽子だよなぁ、と考えるのは自然な流れ。ぼんやりイメージも描いていましたが、まさかこんな風に制作に取りかかることになるとは。

大きな構造の手順はわかるので、試行錯誤のひとつめに比べるとふたつめはあっという間に作っていけます。順調に棟上げも済み、スレートのようではありますが一応瓦を模したつもりの屋根も葺いて、あとはカジュ祭のイメージを細かいモチーフになぞらえて配置していきます。

石釜ピザと全国の美味しい地酒を揃える掛田商店が店を構える、これはカジュ祭の裏庭の図。

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柚木沙弥郎の言葉

「毎日何か一つでも面白いこと見つけて楽しく人生おすごし下さい」
今年いただいた葉書に書かれていた言葉。

IDEEのインタビューの最後に
「制作すること、生きること、そのモチベーションを維持する秘訣を教えてください。」
の質問に対し、
「老若男女関係なく、人間はいつもわくわくしていないとダメなんだ。青臭いこと言うようだけど、肝心なものは情熱だよ。あとは気力。」
(2013年取材)

柚木沙弥郎、今年で95歳。ものを作る姿勢までが作品のようです。

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帽子のファッションショウがあります

師匠・小林時代(こばやしときよ)と、アトリエで学ぶ門下生の「魅せる」ことを最大の目的とした30分ほどのショウ。今回で10回目となりました。
モデルが出た瞬間の「うわぁ」「まぁ!」と驚きと喜びの声を聞くと、こちらも「やった!」と心の中で歓声を上げてしまいます。「帽子にだってこんな楽しいパフォーマンスが出来るのよ!」
広い会場でお客さまに驚いてもらうために、仲間の帽子もだんだん非日常を最大限に演出すべく華やかさが増してきました。最終的な点数はまだわかりませんが、師匠の作品も含め70〜80点の帽子をご覧いただくことになるでしょう。
写真は今回のDMにも載せた師匠の帽子、実は深い意味が込められています。この帽子に限らず全ての作品のコンセプトを会場で小林時代が話します。88歳、元気です。

ちょっと背丈が足りないのですが私もいつものようにモデルでお手伝い、どんな帽子だって被りこなしますよ!
ショウの帽子をお客さまに被って楽しんでいただく時間もご用意しております。
まだまだ寒い時期ではありますが、会場はアツい。楽しい帽子のファッションショウ、どうぞお越し下さいませ。

2017年2月4日(土)
「帽子のファッションショー」
六本木 国立新美術館 展示室1A 平泉展内
14:30〜(30分ほどのフロアショーです)

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羽飾りの魅力

羽根飾りは素敵です。しかし商品としての帽子に付けるのは少々リスキー、飾りが少し痛むだけでも商品価値が下がるからです。帽子は割れたり欠けたりはしませんが羽根自体が非常にデリケートな素材なので、搬入搬出もしくは催事中の出し入れやお客さまの試着等でのダメージが全くないわけにはいきません。
とはいえ軽くて華やかで上等感もある羽根を使うのは大好き。調達してきた羽根をそのまま、もしくはカットしたりカーブを付けたり、重ねたり広げたり。1本の羽根がいくつも集まって立体的に構築されていく様は本当に面白い。ボリュームが出ても軽いので帽子にはぴったりの装飾材料です。

スタイルは重心を上に持ってくることで縦に長くすらりと見せることが出来ます。例えば帽子を被って目線を高い位置に集めることで重心アップ。重心が低いより高い方が格段にすっきり見えるのです。
というわけで身体の一番上に位置する帽子に羽根飾りを付けるということは「豪華さ」に加え、視線を上に集めてスタイル良く見せるのにも効果がある「かも」しれません。

羽根は鳥の種類だけでなく、部位によっても柔らかさや形が全く異なります…例えばガチョウ一羽でも10数種類の違った羽根を持っているとか。そのまま使うものの他に、中にはいろんな色に染められ、フリンジやポンポンに加工されたりして、装飾で使われる羽根って一体何百種類くらいあるんだろうか。私が今まで扱った羽根の種類は極僅か、たくさんの種類をそれに相応しい造形で使えるようになったらもっと楽しいだろうなぁ。

羽根細工造花職人の3代目ルマリエ氏
「羽根は自然です。花よりも官能的でありながら、見た目はずっと丈夫です。生き生きとしていて、羽根にはあたかも人格があるようです。人はいつも思い通りに出来るとは限りません、羽根もまたそれと同じような人生を生きてます。」

自分用の冬の帽子に羽根と花で飾りを付けました。つば裏のフェイクファーのボリュームがあるので大きい飾りでも充分バランスがとれます。細くてあっちこっち向いてるのはビヨット、ガチョウの羽根のひとつ。カーブをつけると面白い動きが出るので、最近好んで使う素材のひとつです。

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