帽子の飾りは右?左?

金茶この秋に非常に人気のあった帽子がこちら。イタリア製の金茶の織地に控えめなつば。たっぷりとした帽子がお似合いの方にはお勧めできませんが、ボリュームを控えた形がお好みの方には喜ばれたように思います。

さて。私の帽子の飾りはほとんど右(向かって左)についています。しかし世の中を見渡すと圧倒的に左飾りが多く、展示すると私の帽子だけそっぽを向いてる感じになることも多々。これは帽子の師匠の「男性は左飾り、女性は右飾り」との教えをそのまま倣っているに過ぎませんでした。が、先日帽子の仲間と改めて「飾りはどちらか?」談義になり、自身が納得出来る理由を持っておかないと説得力に欠ける…そう思い、改めてあれこれ調べたご報告。

まず男性。17世紀のフランスまで遡ります。当時の貴族の男性はつばの広い帽子にダチョウの大きな羽をつけていました。決闘になるとサーベルを抜きますが、ヨーロッパの剣はフェンシングのように右手だけで持ち身体を左へ開いて右手だけを伸ばして闘います。つまり右半身を前にして構える格好。その時にもし帽子の大きな羽根飾りが右側にあったら、顔の前に垂れ下がって視界を遮ってしまうでしょう。その慣習で帽子の飾りは左側、になったそうです。

それならどうして女性の飾りは右、と師匠が言ったのか?これに関しては調べても明文化されたものがなく、よくわからない。実際のところ婦人帽子の飾りは左と右が混在していており、それならエリザベス女王の帽子はどうなってるんだろうと写真を片っ端から見てみても、若干右が多そうなんだけど左も中には正面も(!!!)あります。
話が逸れますが英dailymailのエリザベス女王のファッションチェックのサイト、ここではUKヴォーグ誌が作成した女王の見事なカラーチャートやファッションが見られます。帽子はもちろん、帽子と服のコーディネートも本当に素敵。こんな帽子が作れるようになったら幸せだろうなぁ!

さて女性の右飾り。それなら女性の居場所が関係するかと思いつき、王室結婚式やレディーファーストのマナーなど関係ありそうなものを再度調べ直し。そして「エスコート」においての女性の立ち位置が関係するのでは?との考えに至りました。
「女性の立ち位置は、男性の利き腕(右側)の半歩後ろがベストです。その大きな理由は、『男性が女性の心臓側を守るため』。その昔、男性は剣を左(利き腕の反対側)にさしていました。敵が来たら、利き手でさっ!と剣抜きます。そのとき刃の軌道である左側に女性がいると、傷つけてしまう可能性があります。それを防ぐために女性 の立ち位置は右側とされていました。また女性もその方が歩きやすいのです。男性の右腕にそっと左手を添え、右手でドレスの裾をつまむことができます。」
ということで帽子の飾りまでは明記されてはいませんが、向かって男性左・女性右の場合において、男性の帽子が左飾りであれば女性の帽子飾りは右についていた方が並んで歩いた時に邪魔にならないかと。おそらく当時は今では想像もつかないほどの華やかな飾りだったはずですから…こじつけ的ではありますが。

これから「どうして右飾りなんですか?」と尋ねられたら上記のように答えましょう。「そんなエスコートしてくれるような人はいないわよ!」と怒って帰られるお客さまがいらっしゃらないことを祈ります。

追記・2018年7月1日に「続・帽子の飾りは右?左?」というタイトルで、帽子の飾りの位置について視覚情報および脳判断をテーマに考察してみました。合わせてお読みいただけると幸いです。

野村あずさ

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