ジオラマ帽子「パーティー」・2

帽子にガーデンパーティーを作るために、何があれば「それらしく」見えるか。ジオラマ帽子である以上、多少なりとも実際を映し込んだアイテムを盛り込むことになります。樹々の緑、綺麗に演出された花に彩られたテーブル、ワインや軽食を振る舞うカウンター…今回はカウンターをメインに置くことにしました。

かつて招かれたのはカリフォルニアのサンディエゴ。メキシコとの国境が近い、異国情緒溢れる街です。ガーデンパーティーにメキシカンな雰囲気があったかどうかはもう記憶が定かではありませんが、そこは演出ということで。
まずメインになるカウンターの屋根と壁を置いてみました。が、なんだか変。壁がないと間が抜けて見えます。しかも屋根の納まりが悪い。屋根にはやはり勾配があった方が「屋根」らしい。その勾配をつけるのも壁があれば解決します。ということで片方だけでも壁を付けてみることにしました。

傾斜を付けた壁を添えると、ぐっとカウンターバーらしくなります。全体にも締まる感じ。
設計をされている人からすれば、基礎もなく、正面と屋根を作ってから横壁で補強していくという気絶しそうな工法です。すみません。
カウンターバーっぽくなってきたものの、この隙間はあまりにみっともない。それは帽子屋にもわかります。
ここはきっちり組んだほうが格好がいい、何と言っても帽子のメインになるアイテムですから。そこで今さらながら壁を作り直すことにしました。

上棟式が終わってから、もう一度バラして組み直しているという感じでしょうか。
あ、でもこれは在来工法ではなくツーバイフォー工法だから上棟式はないのかな?そんなどうでもいいことを考えながら、ただ合わせて接着するより相欠き(あいがき)っぽくした方が少しは丈夫になるかもしれないと思いカッターで削って組み合わせてみます。
ほぞ組みが出来たらかなりのもの…木材の接合方法も勉強しておくべきだったか。しかしそのおかげでしっかり接着することが出来ました。

家中の文房具や多少の工具、画材を総動員してのジオラマ帽子作りです。
壁が出来たところで今度は素焼きの瓦のイメージで屋根を作ります。この屋根、ジオラマ帽子を見た時にかなりの面積を占めるだろうことになるので印象を左右する大事なパーツ。
カラフルな家が連なるメキシコ住宅というよりリゾート風な感じにしたいと思っています。白ベースの帽体なのでそれに合わせて白壁に素焼きの屋根瓦を載せるつもり。
それらしい屋根瓦にするにはどうしたらいのかな…絵の具を塗るだけではのっぺりしてしまう。なので、ざらっとした細かい粉を混ぜます。するとそれだけでテラコッタらしく見えるので面白い。
隙間の塗装はパレットナイフを駆使し、思った以上に良い感じに塗れました。この時点でなんとなく
南欧テイストも混じってきたような気もしなくもありませんが、イメージと離れてきたわけではないのでどんどん進めます。

白い壁も粉を混ぜて雰囲気が出てまいりました。
細工も上々、しっかり接着されました。
この壁と屋根をまず帽子に載せて位置が決まれば、半分は出来上がったようなものです。
頭の中で出来上がりのおおよそのイメージがしっかりあるので、あとの飾り付けは驚くほどの早さで出来ます。ちなみにジオラマ帽子を作る際にスケッチはしません。しっかりスケッチしてイメージを固める方もいらっしゃいますので、それは人それぞれ。私の場合はスケッチにしてしまうとそれに縛られ過ぎてしまうような気がして、スケッチはしない。自分の引き出しからいつでもブレずにイメージを取り出せるようになって初めて、それが自分のものになったと確信して制作に入ります。スケッチに引っ張られることがないので、例え材料や技法で変更を余儀なくされても柔軟に対応できるのが利点でしょうか。それでも自分の作りたいものがわかっているので、その変更で完成図まで大幅に変わることはないのです。

野村あずさ

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