ハンドワークの帽子・夏バージョン

寒い2月の東京で着々と春夏帽子を作っています。ちょっと早いかもしれませんが夏の帽体の制作も始めました。素材は「シゾール」と呼ばれる植物繊維。フィリピン原産マニラ麻の葉を裂いた繊維で作られるシゾールは、正確には麻ではなくバナナの仲間で芭蕉の一種。マニラ麻は和名、英名はアバカabaca(Manila Hemp)です。
植物繊維としては最も強度が高いもののひとつ、しかしお値段も高くなるのが悩ましいところ。
シゾール帽体はさらに大きく分けて2種類、平織りの石目編みとヘリンボーン調の網代編みがあります。網代編みは交差を2本または3本飛ばしにして目をずらしながら編む、日本では籠や和風内装建材でも見ることが出来る比較的馴染みのある技法。縦横を隙間なく編み込んでいくため非常に丈夫に仕上がります。個人的にも艶が出て綺麗な印象があり、しかも丈夫な網代編みのシゾールを好んで使っています。
こんなに素敵な素材なのに、消費者庁家庭用品品質表示法では「指定外繊維」という、ちょっと仲間外れっぽい扱いをされているのが可哀想。

さてそのシゾール。型にはめて作るのも良いのですが、なんとなく「木型そのままではつまらない」気分。以前に作った冬帽体でのハンドワークの帽子の夏バージョンを作ることにしました。西洋の服飾的なドレープやタックではなく、今回は和服をイメージしています。襟の重ねを想像していただけるでしょうか。手と素材が一体となって素材に負担のないカーブができた時はとても嬉しいものです。私としては自然に消えていく箇所が綺麗に収まったので一安心でした。もう少し優しい雰囲気に綺麗に整え、エッジ(つばの端)を始末すれば本体が出来上がり。
この帽子は3月の静岡でお披露目致します。

2018年3月3日(土)〜4日(日)
「松坂屋ゴールド会」
松坂屋静岡店 8階大催事場
招待のお客さま向けの展示会に出品します

野村あずさ

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