松坂屋静岡店のハロウィンの帽子・その1

美大を出ていますしイラストを描いたりもするので、帽子を作る時にはさぞかしスケッチを描き溜めるのだろうと思われることも多い。ところが、私はほとんど描かないタイプです。ふっと浮かんだボンヤリしたものをその時点で視覚化すると、後々までその描いたものに引っ張られて自由な完成イメージが縛られていくような気がすることと、もうひとつはズボラなこともあるかもしれませんね。頭の中で作るもののイメージを反芻していくうちに徐々に外枠がはっきりと固まってきて、いつでもブレずに完成イメージが浮かぶようになる。その時、初めてそれが自分のものになったと確信して制作にとりかかります。
そんな私が珍しく描いたイメージスケッチ(それでもこんな程度ですが)。モチーフでハロウィンだとおわかりになったでしょうか。

実はこれ、10月に催事があります松坂屋静岡店からの「オーダー」。今までいろいろなオーダーをいただいてまいりましたが、百貨店からのオーダーは初めてです。

私の催事のある10月頭から松坂屋静岡店でハロウィンイベントも始まるそう。その際に松坂屋の社員さんがハロウィン帽子を被って盛り上げる…と同時に、作家ものの帽子ということで私の帽子イベントに誘導できるようにしたい、という企画です。この趣旨を伺った時の驚きをおわかりいただけるでしょうか、無名の一作家に対してこれほどの応援をして下さるとは。

担当者から連絡があった9月のその日は私の誕生日でした。催事中でしたので朝から販売に立っていましたが、あいにくの蒸し暑い雨。接客もあまり出来ず売上げも散々、少々意気消沈していたところのこの電話。まさか担当の方が誕生日を狙ってお話を下さったとは思えませんので全くの偶然だったのでしょうが、まるで誕生日のプレゼントのように思えました。

私にとって非常に嬉しい、そしてあまりに光栄な仕事です。商品も作らなければいけませんが、わくわくしながらまずはスケッチ。真ん中のカボチャっぽく見えるのと中折れ帽っぽく見えるのが最終決定案。これから一気に制作してまいります。

そして最終決定案の左上に見える2段重ねのようなものも、松坂屋静岡店からの別オーダー帽子のスケッチ。これについてはまた後日。

野村あずさ

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