「商品」と「作品」(石田倉庫の帽子)

img_0831先日のマルシェ・ド・シャポー展示会の際に見つけた自身の課題のひとつが「帽子をどう演出して見せるか」。商品として撮影する時は余計なイメージが入らないよう白バックで帽子だけがしっかり見えるようにします。が、作品としての帽子の場合はもっと自由に見せて良いはずだと展示会中に背景をいろいろ探し回り撮ってみました。ところがいざ撮影したものを改めて見直すと、わざわざ背景を替える意味があるのか?と。楽しい気分が全く感じられない、舞台の書割りでも構わないじゃないか。
帽子は人間が被ってなんぼのもの、誰かがその帽子を被って何かしらの行為や行動を起こしている方が面白いかも。マルシェで作った帽子でいえば、葡萄の帽子を被ってぶどう狩りに行く(地元練馬にはなんとぶどう園があるのですよ!)、苺の帽子を被って千疋屋日本橋本店でいちごパフェを食べる、とか。これに関しては依然熟考中。

img_0179 しかし丙午の性格なのかどうか、思いついたらやってみないと気が済まない。来年のぶどう狩りまで待ってられない!という時に、なんと都合のいいことに来週は立川にある石田倉庫のイベント。ということで石田倉庫をイメージした帽子を作ることにしました。当日は大真面目に会場で被って帽子の展示をしたり場内を歩き回ります。
盛り込むモチーフはグレーの倉庫、壁の蔦、屋台のビール、などなど…これがやり始めると面白くて楽しくて!「売る」ことを考えない、純粋に「見せる」ための帽子。目的は「石田倉庫帽子」を石田倉庫で被る、ただそれだけ。馬鹿馬鹿しいと言われればそれまでですが、私にとって帽子は「売買の間に介在する物材」だけではなく、もっと楽しく自由なもの。表現のひとつになり得るはずだと再確認してのアクションです。

いつもimg_0883いつも「商品」と「作品」の折り合いをどう付けたら良いのかを考えています。とはいえ頭の中だけで考えていても仕方ない、実際にやって失敗したらそれはそのとき。成功しても失敗しても、この「石田倉庫帽子」が試行錯誤のワンステップになることは間違いないでしょう。

野村あずさ

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