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「UV加工」についての続きです。
「紫外線遮蔽率」…よく商品に「UVカット ○○%!」などと表示されていますが、難しい数字になるとこれは波長280nm から400nm の紫外線 UV-A (400-315 nm), UV-B (315-280nm)の2種)をどれだけ遮蔽しているか(紫外線をどれだけ遮っているか)を「%」 で示したもの。高効果の「UV加工製品」に「これはUVカット100%だから」とみなさん安心されます。もちろんそれらはしかるべき繊維試験機関にて試験検査を行い評価された値(のはず)。ただしそれは「UV加工した生地段階」での検査結果によるものです。

この検査、分光光度計を用いて試験片(生地端切ですね)に紫外線を照射し、透過率を測定するという方法が多いようです。つまり生地の至近で計測した数値。
しかし製品になった段階での紫外線遮蔽率は100%とは限りません。繰り返しますが商品表示の「UVカット○○%」はあくまで生地検査結果。その値が(紫外線遮蔽率)100%だった場合、確かに生地そのものには表示されただけの能力があるということです。これには嘘はありません。そして製品使用時の遮蔽率はこれとは異なるのです。
実生活においては生地(製品)から少し離れただけでも周りから散乱してきたり反射された紫外線に影響されます。ですから生地の力を最大限に生かすためには、ミイラのように、もしくはイスラムのチャドルのように肌を直接すっぽり覆う必用があります。そうしない限りは「(例)遮蔽率100%」の値にはなりません。多説ありますが、布から肌の距離が 30㎝はなれると紫外線遮蔽率は40%に激減するというデータもあるくらいです。

私達は上空からの紫外線(直接光+散乱光)+反射による紫外線(反射光)の3種類を合わせたものを浴びている。表記の数字をそのまま鵜呑みにするような単純な話ではありません。

例えば日傘。傘は頭の上に差します(当たり前)。日傘で防げるのはあくまでも日傘の上から来る直射光(紫外線)だけ。
日傘をあまり高く持ち上げると周囲の散乱および反射紫外線が入りやすくなるので、効果を上げるためには柄の部分を短く持って差して下さい、と傘屋さんが言っていました。
つまりUV加工してあれば紫外線から完全に守られるわけではない。日傘や帽子のタグに「紫外線遮蔽率100%」と明記してあったとしても、実際には身体には相当量の紫外線が届いているのです。

UVカット100%の生地を使ったベレを被って「これで日焼けは安心!」という方はまさかいらっしゃらないでしょう。あ、頭皮だけの紫外線防止でしたら大丈夫ですね。帽子で防止。
写真の帽子は中厚の麻に顔料プリントの特大つば広の帽子です。紫外線のことだけで言えば、まず加工していない麻でも60〜80%の紫外線をカットします。薄い生地より厚くなる方が効果的。そして顔料は紫外線に強い。ですから日除けにはかなり効果的、であるにも関わらず「重い」「暑い」「大き過ぎる」とお客さまは嫌がります。なので今は私が被っている。
万能な帽子はありません。この時期は何より紫外線カットを最優先されて帽子を選ばれるでしょうが、本当のところを理解していないと

紫外線は癌や光老化によるシミ・シワの原因になるので少しでも浴びたくない…とご婦人方。確かに過剰な紫外線はよろしくありません。ならば完全に遮断すれば安心安全なのかというとそうでもない。血行促進や新陳代謝の促進、免疫力の向上、生体リズムを整える、脳内物質の分泌の促進(うつ病治療、痴呆症防止効果の研究もされているそう)、「活性型ビタミンD」(ビタミンD3)を生成し骨の形成や代謝に大きく影響する…健康を維持する上で適度な量の紫外線も必用なのです。
また日焼け止めを塗りすぎて肌が乾燥したり荒れたりすると、余計に紫外線を吸収しやすくなります。肌が健康であるほうが紫外線に対して抵抗力があり、乾燥したり荒れたりすると紫外線を通しやすくなる。日焼け止めを塗るといっても、肌が荒れない程度に留めるべきで、やりすぎは禁物です。日焼け止めだけに頼らず、賢い紫外線対策を考えること。どこまでするかは、自分の価値観で決めることが大切です(この段落、皮膚科医・吉木伸子先生のお話より)。

「百害あって一利なし」とやっきになるご婦人方の気持ちもわかります。が「何事もほどほどに」ということでしょうか。

※「分光光度計」…太陽のかわりに人工光源を使い、検知器とメーターを使って色(波長)を測るもの。人間が物を見るのと最も大きく異なるのは、分光光度計では白色光を物質に直接に当てるのではなくプリズムや回折格子を使って光を各色に分け、その一つ一つの色(単色光)を順番に試験片に当てて、各色の吸収の大きさ(=透過した光の量)を測る点です。

cheera

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