サイギャラリーでの展示会が終わった直後のことです。運営や内容の反省は今後の取り組みの課題にいたします。商品構成、それに関してはギャラリースタート時からモヤモヤと思っていたことがありました。
ここ2〜3年の私は、落ち着いたシンプルな路線を提案しておりました。もちろんギャラリーでもそれらの帽子をご紹介すべく用意してまいりました。が、いざ並べてみると感染症に翻弄されて自粛が解けたこの時期において、それらはあまりに大人し過ぎた。自身の気持ちとしても、もう少し楽しく体力のある帽子の方が今の気分に相応しい。かといって突拍子もなく弾けた感じも無理があるような気がするし。
ギャラリーを終えて吉祥寺PARCOでの催事の間の1週間。そんなことを考えて形にしたのがこれらの帽子です。

綿麻のプリント生地をアクセントにした少し広めのつば。決して軽くはありませんので「体力のある」帽子であることには間違いありません。ご本人の元気を出していただいて被る帽子です、注文が多い。
絶対的に軽い方がお客さまには好まれるはずです。しかし今の私の気分として「しっかり自分の足で立つ」感覚が欲しかった。

この不安が蔓延する世の中、しかもソーシャルディスタンスとかでコミュニケーションも微妙な間(ま)を求められ、スキンシップもままなりません。安心を欲するにも皮膚感覚はセルフタッチングが主流。演劇や演奏も含むリモートでの様々な取り組みには目を見張りますが、とはいっても補いきれない身体感覚があるのも否定できないと思うのです。
そんなときに癒しや優しさを求める方向に行く方もいるでしょう。そしてそれらと同じくらい、エネルギッシュな方向に向かう人もいるはずだ。実際にギャラリーで自身の帽子のラインナップを見た私は「元気が足りない、エネルギーが足りない」と思った側でした。

自分の足でしっかり立つ、着実に一歩を踏み出す。軽くゆったりしたシフォンブラウスではなく綿麻のテーラードジャケットのような感覚。
こんな時だからこそ少しでも前向きに、そんな気持ちにお手伝いが出来る帽子が良い。何より私がそういう帽子を作りたかった。
そしてこれらの帽子で一番にお嫁にいったのは赤い帽子でした。
お客さまは「元気になりたくて」とおっしゃってお求め下さったのです。

心の中で「私も元気になりたくてこの帽子を作りました」とお伝えしながらお客さまに帽子をお渡ししました。

野村あずさ

3件のフィードバック

  1. こんにちは。
    私はこれを読んで、帽子の軽さなんか気にした事なかった。と気がつきました。

    帽子…住んでいる地域によっても欲しいものがかわる気がします。

    赤いお帽子で元気になってくれたら私も嬉しいです。

    • ミキさま
      私の僅かな経験でいくと、百貨店のお客さまは機能をとても気にされます。
      ところが今回のギャラリーやPARCOとはいえギャラリー的な雰囲気の場所に行くと、そちらを気にする方はグンと減る。
      おそらくお店に入ってくる段階で百貨店は「商品を買いに」、ギャラリーは「面白いものを見つけに」という気持ちだからかと、そんなことをボンヤリ思います。

      地域が変われば気候や生活のスタイルも変わるので、おっしゃる通りお客さまがお求めになるものの傾向は異なります。社員さんや販売員さんに「どういうものが好まれる、それはどうしてか」という話を伺うのはとても勉強になります。

      万人に好まれるわけにはまいりませんが、ひとりでもふたりでも、このようなお客さまに出合えると「もう少し頑張ろう」という気持ちになりますね。

      • お返事ありがとうございます。

        ギャラリーという名の通り、自由な空間が楽しい。私のイメージではそんな感じです。

        手に取れる絵画という感じでしょうか。

        少し脱線しますが、万人受けは芸能界で言うと個性が無いと言われることもあるそうです。

        自分を出して、本当に信じて応援してくれる人と共に成長する。それが表現者だと聞いた事があります。

        今の、あずささんは、どこに居たら楽しい気持ちになるのか?それを考えてみたら何か新しい空間が見えて来るような気がしました。

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