新しいシワシワ

下処理した帽体は木型に入れたりハンドワークで形づくり、形を整えていきます。
無造作に見えるのが今回の新しい試みです。草帽体は繊細なので一気に力を入れると破れてしまうことも。適度に霧吹きをかけながら帽体にダメージを与えないように全体にシワを作り、そのシワを伸ばしてしまわないように木型に入れました。
ピシッとアイロンがかかったシャツは素敵、そして洗いざらしのシャツの自然な感じも素敵。この帽子は後者をイメージしています。シワシワですが作りたて。

市場に出ている帽子にはわざとシワをいれてたためるようにしたものもありますが、これは「たためません」。天然素材だから。
たためる帽子として売っている帽子はペーパーと呼ばれる再生素材です。天然素材のようで、しかもたためたり洗えたりという機能も加わり、ここ数年で市場を席巻する勢いです。当初は安いのも利点だったものの最近はペーパー素材の帽子もそれなりに良いお値段なので、一番おいしい思いをしているのはこのペーパー素材を作っている会社かと勘ぐってみたり。
では天然素材はなぜたためないかというと、折ったり伸ばしたりで劣化が酷くなるとパリパリ割れてくるからで、これは素材の特徴なので如何ともし難いところ。
ペーパーはそうならないのかと問われると、自身はそこまでペーパーの経年劣化を確かめていないので絶対大丈夫とも言えないのは申し訳ありません。

そんな不便で高価な天然素材に良いことはあるのか?と聞かれて、あえて2つあげるとしたら「軽い」「自由な造形」
ペーパーと天然素材を持ってみると軽さは全く異なります、そして天然素材の方が風通しがいいので涼しい。帽子材料問屋で長年素材を扱っているレジェンドのような社長も言うのですから間違いない。
そして帽子を帽子たらしめる「立体造形」を楽しめる素材は帽体かと。

この帽子はこれから飾りを付けて仕上げます。どんなシワシワな新作ができるでしょうか。

2020年3月17日(火)〜23日(月)
「野村あずさ 春の帽子コレクション」
そごう横浜店 地下1階 婦人帽子売場内イベントコーナー

野村あずさ

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