甘い帽子・1

帽子のショウがあります。「最新のコレクションを見せる!」というものではありません、あくまで「帽子の楽しさ」をお伝えするもの。ですから私も華やかで明るく元気の出るような帽子をご用意致します。
今回は白い花のトークが先に出来ていたので、その対になるものとしてピンクの帽子をイメージしました。
平たく小振りの白いトークに対してクラウンを高く、中くらいのつばにしてペアにした時のメリハリを強調したつもりです。

本体を作った後にラフスケッチがわりにあれこれ花を飾り付けます。楽しい時間ではありますが、花を盛りつけると本体が少し弱いことに気が付きました。
どうしよう?飾りを減らすか?
しかしそれはちょっと寂しい。
本体そのものをつば広の大きいものにするか?
そうなると白い花のトークに対してピンクの帽子が大きくなり過ぎるでしょう。
考えた末にこの本体そのものを「強く」することにしました。「強く」といっても筋肉隆々にするわけではありません。このスッキリした帽体の表面に「わざと」岩の表面のようなディテールをつけることにしたのです。
手で形をつけながら「糊」を塗って固めます。これでも全方向から見てバランス良く形をつけているつもりです!結果、帽子本体にも主張が出たでかと思いますが如何でしょうか。このピンクの帽子には花飾りをつけますが、岩肌のような表現をした帽子は商品としても素敵かもしれないとの発見をしました。イメージとして黒や焦茶などのつば広の帽子、それを岩肌のようなディテールの表面にします。そちらは逆に飾りはナシで形の面白さそのものを楽しんでいただく帽子。この春夏用に早速作ってみましょう。
そしていよいよ飾り付け。
下書きやサンプルなどはなく完全に自身のイマジネーションを手で形にしていく作業です。日頃の商品はパターン通り裁断して順番に縫製し、全部のパーツを縫い上げたら完成というシステマティックな作業。以前手がけていた「型紙による染色」に近い感覚です。そちらも型紙に合わせて染料を用意し、順番に染めて全ての型紙で染料を置いたら完成という手順ですから。
となるとこちらは絵画、ライブペインティングに近いかもしれません。もたもたしていると新鮮さがなくなり、余計にいじくっただけ汚くなる場合もある。やり直しが出来ないのでかなりの集中力を必要としますが、かえってその時間に充実感と高揚感を覚えたりも致します。

2019年2月2日(土)
「帽子のファッションショウ」
六本木・国立新美術館 1 階展示室1A 第31回 平泉展 会場内
午後2時半スタート(予定)
師匠・小林時代やアトリエで学ぶ仲間有志と一緒に、恒例の帽子のショウを企画開催いたします
帽子ショウ前のプログラムが押して毎年スタート時間が遅れ気味なこと、ここでお詫び申し上げます

野村あずさ

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