続・「作家もの」ということ

「作家もの」ということの、なんとなく続きで「作家とのコミュニケーション」について。
イベント等で作品に出会って気に入って買う、とても楽しい瞬間です。ましてや、せっかくの作家もの。そこに作家がいるのなら作り手と接するまたとない機会です、是非作者とのコミュニケーションを楽しんで下さい。

「もの」が良ければ余計な情報はいらない、という方もいらっしゃるかもしれません。その方は自分の直感に自信をお持ちなのでしょう、それはそれでハッキリしていて気持ちがいい。

何と話しかけたらいいのかためらうのであれば、自身が買った作品についてでしたら話しやすいかもしれません。「素材が気に入りました」「色が気に入りました」「デザインが気に入りました」そして「どうしてこの素材(色、デザイン…)を選んだのですか?」
話がはずめば「どうしてこれを作り始めたのですか?」私が相手であれば「どうして帽子を選んだんですか?」と聞くのも面白い。
ここで言い渋る作家などいるでしょうか。喜んで話をしてくれます。
(ただし相手が他の接客で忙しそうでしたら遠慮したほうがいいかもしれません)

作品には作者の気持ちが反映されます。
その作品が気に入ったのであれば、少なからず作り手に共感する部分があるはずです。
作家と話すことで「素材に対する姿勢に感心した」「色彩感覚の好みが似ている」「デザインの話が面白かった」「自分と作家のの雰囲気が似ている!」等のプライスレスの物語が買ったものに加わります。
ものと出会った場面、一緒にいた人(作家)、その時の自分の気持ち…これらが買ったものをあなたにとって更に価値あるものにしていきます。

作り手のものに対するそんな気持ちを知らなくても、買ったものを使うには全く支障はありません。しかし安くはない作家ものを買うのですから、決め手となった理由や気持ちがどこかしらに映し出されているはず。「使うだけ」でしたら安いものは他にいくらでもありますから。
そう、機能だけで帽子を買うなら安いものはいくらでもある。その中で私の帽子を買って下さるのは「何か」が気に入ったから。
直感で感じたそれが何なのかを自身で探れるようになると、ものの見方に厚みが増します。「なんとなく」や「その場しのぎ」で選んだものより「私はこういう理由で、これを選んで身に着けている、使っている」という考えの方が、断然前向きな気持ちでそのものと向かい合えると思います。

ということでどんどん作り手と話をしてみて下さい。
私達は興味をもっていただいて話しかけられるのを待っています。

写真はショウのためのふたつの帽子を並べてバランスを見ているところ。「どうしてこんな帽子を作ったんですか!?」と聞かれたら大喜びで1時間は語りますよ!

野村あずさ

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