AZU通信62号「帽子を作ろう 5」

毎年連休が明けると帽子売場は天然素材や天然素材っぽい帽子がずらずらずら〜と並びます。夏に向けて夏物商品のオンパレード。しかし「っぽい」と書いたように、その中の多くはペーパーと呼ばれる新素材。帽子についている洗濯表示に「指定外繊維」とあるのですぐにわかります。「指定外繊維」とは消費者庁が定める「家庭用品品質表示法」の「繊維の名称を示す用語」の表に名前がない、比較的新しかったりマイナーだったりする材料を表示する言葉です。
ペーパー素材は天然素材に対し安価に製造し安定供給できるので、上記したように、いま帽子業界では人気の素材になっています。

そのペーパー、もちろん紙。靭皮繊維(じんびせんい)と呼ばれる長い繊維を使用します。時に「原料が和紙」と説明されるのは、和紙と同じ靭皮繊維を使用するから。その繊維で長い長い紙を作りドラム缶ほどのロール状に巻き取ったものにして、それを5mm幅にカット。それぞれに撚りをかけることによって紙製の糸が出来上がる。その糸をボビンに巻き取り、編みの機械にかけるとペーパーブレードが完成するというわけです。
日本でも作られますが、やはりペーパーブレードは中国製が多い。原料となる素材が豊富に存在するため、新しい素材を早く見つける事ができたり新しい素材を開発しやすいという側面もありますが、人件費が日本よりも安いので全体的なコストダウンも可能だということも大きい要因であることは確かです。
ただ縫製が日本だと(中国製のペーパーでも)「日本製」になるので、手元の帽子の原料が何処製なのかはメーカーに問い合わせないと本当のことはわかりません。

今では「洗える」「畳める」ペーパー素材の帽子もあり非常にびっくり。何といっても紙。水、摩擦、熱に弱いので、長い間使用されるものとしては考えられていないとの認識だったから。さすがメーカーさん、素材開発は個人作家では手が届かない分野…と思って調べたら、またまたビックリの事実を改めて知ることになりました。長くなるので続きは次回。

野村あずさ

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