ポップテイストのソフト風クロシェ

美術大学付属高校の頃は「人と違ったことをしなければ」という、いま思うとヘンテコな脅迫観念のような意識があったように思います。「何か変わったこと」が個性だと。
さすがに現在はそんな風には考えてはいませんが、それでも常に「私らしさとは何だろう?」と自問自答しています。

技術として帽子を上手に仕立てられることはそれは当たり前であって、超人的な技術でない限りは売りにはなりません。だからといって人目を気にした奇抜を狙うのも少々違うような。注目されるかもしれませんが、一過性のものになる危険性もある。そんな気がします。

カタチ自体は今までの定番のひとつ、ソフトハット風のクロシェ。それを「私がポップテイストで作ったら」というテーマで仕立てたらこうなりました。
クラウン部分をもっと細かくランダムなストライプで構成したら、かなり面白いものになるでしょう。ひとつ作るとそれが新たな手掛りになって、また次のイメージが湧いてくる。頭の中ではなく、紙の上でのスケッチではなく、私の場合はひたすら作って作ってここまでやってきたのだと改めて思います。

デザイナー・佐藤卓さんの言葉が今の気持ちに寄り添います。
「デザイナーが個性を出そうとするな。個性なんて、勝手に滲み出る。
仕事を続けていれば、意識しなくても必ずその人らしさが滲み出る。
滲み出たものが個性だ。」

大切なのはお客さまに満足してもらう良い帽子を作ること。
帽子のショーのような華やかな帽子も、マカロンクロシェのようなミニマムな帽子も、このようなポップな帽子も、見た目は全く対極でも紛れもない私のアウトプット。アウトプットのスタイルが様々であっても、必ずその先には「どのようなお客さまに喜んでいただくか」があります。このポップテイストの帽子もそこを自分なりにイメージしたつもり。明後日からの帯広でご覧下さいませ。

2018年5月10日(木)〜5月16日(水)
「キッチュナトリップショップ」
帯広藤丸 1階 特設会場
帽子セレクターによる帽子や雑貨のポップアップショップ
帽子のみの出品です

野村あずさ

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