カジュ祭の帽子

石田倉庫の帽子が出来上がった時、一応の報告?として師匠・小林時代に見せました。見るなり大笑い、「まぁ、良く作ったわね!こんな帽子、初めて見ましたよ!」

楽しいことが大好きな師匠、そう言うだろうと予想はしていましたが、加えて「初めて見た」とはなんと嬉しい誉め言葉!
クリエイティブ(創造的・独創的)な仕事をする以上「見たことのないものを新しく作り上げたい」と願うのは当然。「他にもありそう」「見たことがある」では、それはイミティティブ(模倣的)。

「あずさちゃん、これはショウに出しなさい」
これは想定外、面白がってもらえるとは思っていましたが。
「石田倉庫のイベントをイメージした帽子」は、その場所で被ってその場所に居合わせた方が一番面白く感じるもの、他の場所では威力半減。作った私自身はそう考えていました。
なのでファッションショウで「そのイベントを知らないお客さま」に見ていただくのはどうなんだろう?と疑問を感じている間にも「モデルさんは二人で歩きますからね、この帽子のもうひとつ組になる帽子を作りなさいよ」と師匠はどんどん決めていきます。確かに組にするにも、この帽子に合う帽子は他には見当たらないでしょう。だってどこにもないんですから。となるともうひとつ、やっぱり作るか。

実は石田倉庫の帽子を作っている時に腹の中で「これはカジュ帽子も作らないとな」と考えてはおりました。
秋は立川の石田倉庫「アートな2日間」に参加、春は鎌倉のカジュ・アート・スペース「カジュ祭」に参加するのがここ6年の恒例行事。百貨店催事とは異なる「モノ作りに携わっていることを純粋に喜ぶ」という、私にとっては初心に返る大事なイベントです。
となると倉庫帽子を作ったらカジュ帽子だよなぁ、と考えるのは自然な流れ。ぼんやりイメージも描いていましたが、まさかこんな風に制作に取りかかることになるとは。

大きな構造の手順はわかるので、試行錯誤のひとつめに比べるとふたつめはあっという間に作っていけます。順調に棟上げも済み、スレートのようではありますが一応瓦を模したつもりの屋根も葺いて、あとはカジュ祭のイメージを細かいモチーフになぞらえて配置していきます。

石釜ピザと全国の美味しい地酒を揃える掛田商店が店を構える、これはカジュ祭の裏庭の図。

野村あずさ

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