羽飾りの魅力

羽根飾りは素敵です。しかし商品としての帽子に付けるのは少々リスキー、飾りが少し痛むだけでも商品価値が下がるからです。帽子は割れたり欠けたりはしませんが羽根自体が非常にデリケートな素材なので、搬入搬出もしくは催事中の出し入れやお客さまの試着等でのダメージが全くないわけにはいきません。
とはいえ軽くて華やかで上等感もある羽根を使うのは大好き。調達してきた羽根をそのまま、もしくはカットしたりカーブを付けたり、重ねたり広げたり。1本の羽根がいくつも集まって立体的に構築されていく様は本当に面白い。ボリュームが出ても軽いので帽子にはぴったりの装飾材料です。

スタイルは重心を上に持ってくることで縦に長くすらりと見せることが出来ます。例えば帽子を被って目線を高い位置に集めることで重心アップ。重心が低いより高い方が格段にすっきり見えるのです。
というわけで身体の一番上に位置する帽子に羽根飾りを付けるということは「豪華さ」に加え、視線を上に集めてスタイル良く見せるのにも効果がある「かも」しれません。

羽根は鳥の種類だけでなく、部位によっても柔らかさや形が全く異なります…例えばガチョウ一羽でも10数種類の違った羽根を持っているとか。そのまま使うものの他に、中にはいろんな色に染められ、フリンジやポンポンに加工されたりして、装飾で使われる羽根って一体何百種類くらいあるんだろうか。私が今まで扱った羽根の種類は極僅か、たくさんの種類をそれに相応しい造形で使えるようになったらもっと楽しいだろうなぁ。

羽根細工造花職人の3代目ルマリエ氏
「羽根は自然です。花よりも官能的でありながら、見た目はずっと丈夫です。生き生きとしていて、羽根にはあたかも人格があるようです。人はいつも思い通りに出来るとは限りません、羽根もまたそれと同じような人生を生きてます。」

自分用の冬の帽子に羽根と花で飾りを付けました。つば裏のフェイクファーのボリュームがあるので大きい飾りでも充分バランスがとれます。細くてあっちこっち向いてるのはビヨット、ガチョウの羽根のひとつ。カーブをつけると面白い動きが出るので、最近好んで使う素材のひとつです。

野村あずさ

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