軌跡のベレー

img_0593イベントの内容や百貨店内のどのフロアかということにもよりますが、作家の場合は実演という名目で接客の合間に作業出来ることもあります。先日の東武百貨店池袋店の際も、シルクハットの仕上げをした後はフラノ生地の冬のベレーの飾り付けを。細いテグス糸で小さいビーズをひとつひとつ縫い付けます。ビーズを縫い付ける幅を変えていき、間隔の広いところと狭いところで微妙にビーズの色を変えることで、軌跡のような表現になるのが面白い。一番最初に作ったビーズ飾りのベレーに比べて、はるかに上手になりました。

帽子をご覧になっていたお客さまが、ふとこのベレーに気が付き気になった様子。「素敵ね」と誉めて下さった次に「被ってみてもいいかしら?」。ビーズを縫い付けるときはまだ表地だけで裏地はついていません。「お客さま、まだ未完成で…」「いいわよ、雰囲気がわかればいいんだから」と頭に載せて「いいわねー、これいつ出来るの?」「ええと、次の催事ではお出ししますが」「次はどちら?」「札幌で…」「まぁ、札幌まで買いに行けないわよ!いいわ、仕上がったら送ってちょうだい」「!!!!!」「いつ出来るかしら?」「ええーと、明日には!」…その晩は夜なべ仕事になったことは言うまでもありません。

 

 

 

 

 

 

ベーシックな8枚パターンの捩りベレーがビーズの軌跡で世界でひとつのものに。ただあまり数が作れません。10月の催事で見つけたらそれは幸運、是非お手に取って頭の上にこの軌跡を描いていただきたいと思います。

野村あずさ

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