アシンメトリーキャペのリデザイン

AZU通信63号」でペーパー素材についてあれこれ書いた際にポリエステル素材にも少し触れました。自身はもともとアカデミックな染織をしていたこともあり、どちらかというと天然素材の方がしっくりします。とはいえ合成繊維のメリットも承知しておりますし、それらが美しい生地を作ることも承知しています。ということで今シーズン初登場の「洗える麻」。芯にポリエステル・表面が麻の二層構造糸使い(麻60%/ポリエステル40%)という、この薄い生地を作る細い糸の何処がそうなっているのか裸眼では全くわからない(当たり前か)、驚きの生地です。軽くて艶があり、シャリ感を残しつつ柔らかい。軽さを利用してたっぷりのつばのアシンメトリーキャペを作りました。

このデザインは数年前に麻生地で展開していましたがなんとなく被った際の違和感が拭いきれず、そのまましまい込んでいたもの。今回パターンの整理をしていて懐かしのアシンメトリーキャペに向かい合い、その違和感が頭部分(クラウン)の締め付けと重さだと思い当たりました。型紙を直しクラウンを鉢部分で3センチほどゆったりさせ、そしてこの「洗える麻」にしたことで軽さも実現。格段に被りやすくなりました。

置いてあるといまひとつよくわからない帽子です。種明かしをすると、つば(ブリム)の片方の面積が多くとってありそこがアシンメトリーの遊びになる。被ると正面のブリムが顔に対し斜めのラインを作るのでドラマチックな表情を演出します。エッジの形状記憶ワイヤーも合わせていろんなラインを作ることが可能です。

この洗える麻は写真の紫に加え、黒とグレーベージュの3色を用意して、マカロンクロシェでも展開をしました。こちらの予想では黒がダントツ、次点紫。グレーベージュは地味なのでいまひとつだろうと思っていたのが、蓋を開けてみると大外れ。この紫が店内のライトでより明るく見え、艶というよりテカリのように受け止められてしまったようでした。華やかな生地なのですが、一転派手な印象になってしまったようです。ということでこの春において一番人気だったのは、上品で使いやすそうという声が多く聞かれたグレーベージュ。わからないものですね。

野村あずさ

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