帽子と認知的不協和・1(帽子とナマコとホヤ)

 

 

 

 

 

 

 

 

始まりました、Okiyon個展「Dの肖像」。自分の帽子を写真で見るのは日常、しかし絵という「手」でこつこつと作られるものの中に描かれて飾られている。いいものです。

画廊というかしこまった場所ではありません。カフェのギャラリースペースですので、一般のお客さまも出入りするオープンな雰囲気です。そこにずらり並べられた犬の肖像画、それぞれ隠されたプロフィールが満載のような感じがします。先日はそこに描いてもらった帽子を持って伺いました。

絵を観て帽子を被って楽しめる、そんな時間を設けました。百貨店での催事では「被りたいけど恥ずかしい…」「買わないのに被るのは…」と躊躇される方も多いはず。しかしここではそんな心配はありません。どんなに華やかな帽子でも「被ってみたい!被っていいですか?」と極めてストレートに意志表示される。被って写真を撮って喜んで下さる。帽子に対し、時に優先順位の低いマイナーなアイテムだと寂しくなる時もありますが、しかし誰でも少しばかりの変身願望があるんだと改めて思います。

もちろん中には「私は被らないの」とおっしゃる方もいらっしゃいます。商品を売っている場所より「被る」という行為に対してハードルは低いだろうとは思うのはこちら側の心情、やはり嫌な方は嫌。

話は大きく変わります。あまり好き嫌いはない私ですが「ナマコ」と「ホヤ」は食わず嫌いです。いけませんね。
どうしてなんだろう?と考えるに、まずあの形状が苦手…のような気がしますが、でも鰻や穴子は大丈夫。たぶんそこじゃない。「口に合わないんじゃないか、私にとって美味しいものではないのではないか」「別に食べなくも困らないし」という思い込みなんでしょう。
さてこの気持ち。帽子もに当てはめられます。
「帽子が似合わない」。
例えば「髪が潰れる」「頭が大きい(もしくは小さい)」「仕舞うのに邪魔」「脱ぐとなくす」「畳めない」「洗えない」…お客さまからは親の敵くらいにいろんなマイナス点を伺いますが、集約すると「帽子が似合わない」に行きつくのではないかと思い当たりました。
「帽子が似合わないから、私にとって帽子は被る価値がない」

これは社会心理学用語の「認知的不協和」という言葉で説明されます。

「○○ができない」という自分自身では変えられない状況において、「むしろ○○しないほうが良い」と自身もしくは現状を正当化する方向に解釈することにより、精神的な負担を軽くする心理現象です。
「帽子が似合わない」→「むしろ帽子は被らないほうが良い」→「帽子を被らなくても困らない」「髪が潰れる」「サイズが合わない」「邪魔」などなどの理由付け。
「ナマコとホヤが食べられない」→「むしろナマコやホヤは食べないほうが良い」→「食べなくても困らない」「きっと美味しくない」「ナマコの栄養は他で代用出来る」「形状が苦手」などなど。

しかし「行動を変化させる」または「新しい認知を追加する」ことで「認知的不協和」を解消することも可能です。

「私にもナマコとホヤが食べられるかもしれない」→「意外と美味しいかも」「クセになるかも」「食の幅が広がるかも」「まずは美味しいレストランに行って食べてみようか」「どうせなら詳しそうな誰々さんを誘おうか」「おお、思ったよりは美味しかった」
「私も帽子が似合うかもしれない」→「意外と似合うかも」「クセになるかも」「お洒落の幅が広がるかも」「まずは素敵な帽子を探しに行こうか」「どうせならお洒落な誰々さんを誘おうか」「おお、似合う帽子もあるもんだ」

思考は行動を制限する。のであれば、逆に考えることが出来ればそれは強味になるのかもしれません。
この話、続く。

2018年12月16日(日)〜2019年1月12日(土)
「Okiyon Solo Exhibition – Dの肖像 -」
ミクストメディア(様々な素材や技法)を用いた平面作品を作るアーティストOkiyonの個展に「帽子」の企画協力で参加します
作家Okiyonは12月はランチ〜夕方まで毎日滞在する予定だそうです
六本木 Cafe Frangipani
※年末年始は30日は16時まで、31日〜3日は休業 ご注意下さい
※カフェなので1オーダーお願いします
店内にフォルクスワーゲンのバスがあるお洒落なカフェのギャラリースペース
ランチや土日は混雑が予想されますのでお店へ席のご予約をされることをお勧めいたします
平日の夕方は比較的空いているようです(その際は「展示が見られる席」とお伝えくださいませ)

私の在店は…2018年12月20日(木)、22日(土)、24日(祝) お昼〜17時
写真の5点の帽子を持ってまいります、どんどん被ってお楽しみください!

野村あずさ

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