大人のワッチ風クロシェ(ワッチキャップ)

耳まで暖かく気軽に被れるワッチキャップやビーニー。ざっくり「ニット帽」とくくられることも多い帽子です。そもそもは寒空の下で船で仕事をする漁師が被っていた毛糸の帽子。その実用性が第二次世界大戦中アメリカ海軍の見張りの際の防寒具として取り上げられ、「ウォッチキャップ(watchcap)」が訛ってワッチキャップと変化したという説が主流です。作業用として誕生した帽子が実用のみでなくファッションになっていって今のような多様な形になりました。
その基本形は編みや伸縮性のある生地で筒状にしたものをすっぽり被るというもの。非常にシンプルな形状です。その形を様々に被る、しかもフリーサイズというある意味では万能な帽子かも知れません。もしカテゴリー分けするなら良くも悪くも「カジュアル」だということ。すっぽり被って暖かいこのワッチキャップを「エレガンス」な雰囲気にできないものかといつも考えておりました。

ワッチキャップはつばがありません。帽子がつばで顔に陰を作るのに比べるとワッチキャップはどちらかというと顔をしっかり見せるシルエットになるでしょうか。
少し話が逸れますが、歳を重ねると顔の肉が下がってきて影が出来ます。その影が年齢を感じさせる。ですからモデル撮影の際はレフ板で下から柔らかい光をあてて顔の影を隠します。影が消えると若く見える、これは事実。帽子の広いつばはその逆、顔を少し陰らせてもともとの顔の影を曖昧にさせて表情を若く見せる効果があります。
つばのないワッチキャップはどうすべきか。「深く被ればいいのでは?」となりますが、上手に被ればカッコ良くなりますが下手をすればただ筒を被っているようにもなりますし。難しい。そこをあれこれ考えておりました。

すっぽり被って耳まで暖かい、そして目元に影を作って少しの「綺麗」を出せるような大人の女性のための帽子。
そしてこのワッチ風クロシェが出来ました。

これはニットではなく生地を縫製して作っています。なので既にころんとした形になっています。工夫したのは折り返し部分。ただ折り返しているようにも見えますが、パターンをみていただくとおわかりのように頭部分と折り返しの間に小さいつばを挟んでいます。このつばがあるので折り返しがぺったりとくっつかず、少し大きめに顔を縁取るようになりました。ということは折り返しの下の部分に僅かな影が出来る。それだけでずいぶん綺麗に見えるのです。

今回はカラフルな3色でご用意しましたが、ベーシックな色にすればまたずいぶん違った雰囲気で被っていただけるでしょう。このワッチ風クロシェもここ帯広でデビューとなりました。軽くて暖かく、そして大人の女性の表情を綺麗に見せる帽子です。是非お試し下さいませ。

2018年11月1日(木)〜7日(水)
「キッチュナトリップショップ」
帯広藤丸 1階 エレベーター前特設会場
古くからの仲間の帽子セレクターが主催するゴキゲンなポップアップショップ、
既に藤丸ではシーズン毎のお馴染みのイベントになりました
私は11月1日〜3日終日、4日午前中在店しております

野村あずさ

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