続・帽子の飾りは右?左?

紺屋の白袴ではありませんが「帽子デザイナー」なのにいつも同じ帽子ばかり被っている!ので自分用の帽子を新調しました。
ジュートに羽飾りのハット風。カジュアルでラフなジュートの帽子も羽飾りで品良く華やかな印象になり、被る際のファッションもシーンもぐっと広がります。

さて。この帽子もですが、私の帽子の大半は飾りが向かって左側についています(被っている当事者の右側)。それについて3年前に「帽子の飾りは右?左?」という、わかったようなわからないような考察をしており、その時はマナー(エスコート)とファッションを軸としてみました。
今日は「右か?左か?」を「視覚情報および脳判断」で分析してみようかと思います。(なんだか偉そう)

とにかく「顔」。言うまでもなく人は「顔」を認識する能力に優れていて、人は視野の中に「顔」らしきものがあれば優先的に目がそこに向かいます。CMやPOPでモデルが使われるのもこういう理由です。加えて人気俳優や著名人が登場するのは注目度を上げ、さらに一瞬のうちにその「顔」が誰かを認識させて商品や情報を強く意識化させるため。
その時にアピールしたい商品などの要素は顔に近いほど気付かせるに効果的です。ですから例を挙げれば 「飲む」という行為で必然的に商品を顔近くに持ってくる飲料はもちろんですが、日常ではあり得ない状態であっても広告では洗剤や蚊取り線香や胃腸薬を顔の近くに持ってきて微笑むんですね。

ということで蚊取り線香を引き合いに出すのも如何なものかとは思いますが、帽子は「顔」の近くにあるので(しかも面積が大きいので)非常に目につく服飾雑貨です。それは間違いありません。その帽子の飾り。控えめなものから華やかなものまでいろいろですが「帽子の飾りは右?左?」のヒントを右脳・左脳で考えてみました。

ようやく本題。
既にご存知の方も多いでしょう、人間の脳は視野の半分を強く意識し、片方を無視しがちな認知傾向があります。そして左右どちらを意識しやすいかというとそれは自分の「左側」(この傾向は特に右利きの人によく見られるそうです)。
左視野から入った情報は右脳で処理されます。人の感覚や感性をコントロールし映像や外界の判断を担当するのは「右脳」なので、「左視野」に対して強い反応を示すのです。このように視野の半分を重要視して、もう一方を無視しがちなこの性質は「シュードネグレクト(疑似無視)」と呼ばれます。

例えば魚。図鑑の絵やスーパー売られているもの、活造りまで頭は左側にあることが多いでしょう。
例えばウェブサイトやチラシ。人間の視線はZやFを描くように動くので左側が目立つように構成されています。「Zの法則」「Fの法則」と言われます。なおかつZもFもどちらにしても、視線は左上からスタート。商品陳列でもこの法則が応用されます。ですから一番大事だったり重要だったり一番知らせたいことは左上に配置、左上がキーワードです!
(ただし日本の場合は文字が入って縦書きの場合は「N」の動きになります)

核心に迫ってまいりました。
冒頭の「顔」の話にも繋がりますが、相手を見る場合は特に「顔」に注目して右脳に依存して認識を行うため、左視野からの(相手の左側)からの情報がより印象に残る。逆の立場で言えば自分の「右側」に無意識にでも注意が集まっていることになります。
そして帽子の飾りが自分にとって右にあるということは、相手から見て左。しかも人の身体(顔)に対して特等席である「左上」!

やっと結論。
帽子の飾りは自身にとっての右側、相手から見て左側にあった方がより効果的。相手に自分を印象づけ、イメージをより強めることが期待できそうなのです。少々強引ではありますがそれなりに理に叶っているようにまとめてみました。
ということで私の帽子の飾りは、帽子で被る方を魅力的に演出するためこれからも向かって左側がメイン。もちろんお客さまに「どうして左?」と尋ねられたら、その理由も自信を持ってお伝え致しましょう。

今回の内容は、脳研究者で薬学博士の池谷裕二氏の著書などを主に参考引用致しました。

野村あずさ

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